「宿坊」とは寺社に設けられた宿泊施設のことです。 歴史的建造物に宿泊し、仏像や美術品、庭園など日本文化を肌で感じることができます。
宿坊で体験出来ること
●写経…本来はお経を書き写し仏教を広めることが修行とされ、
信仰の行為として行われてきました。邪念を払うとされている「写経」
一文字一文字丁寧に般若心経を書き写していきます。
写経は家でもできます、その効果としては文字を書いている間は精神が集中しているため、怒りや妬みなどの邪念が払われ、心が安定するといわれています。心に乱れがあると文字にも表れるので、自分の心の状態に気づけます。ストレスから解放されリラックスできると感じる方もいます。
●坐禅…坐という字は土の上に人が座っている姿を現していて、座る動作を指しています。姿勢を正し、ゆっくり息を吐くことを意識しながら精神統一、瞑想を行います。呼吸を意識することで雑念を取り払い、心を落ち着けることを目的とする基本的な修行です。ちなみに、僧侶が肩を叩くことを“警策(きょうさく)”と呼びます。
●朝勤行…(あさごんぎょう)毎朝、本堂でご本尊に向かいお経を読むことから1日がはじまります、このことを勤行といいます。静けさの中、本堂に読経の声が響き渡り、その空間にいるだけで気持ちが引き締まるのを感じます。宿坊宿泊ならではの貴重な体験です。
●精進料理…仏教の戒律を守る修行僧の食事として生まれました。今もお盆のお供え物に用意する家庭もあります。自分が生きていくために動物の命を殺生しないという仏教の教え、なかなか現代では厳しいですが、宿坊では四季折々の旬の食材を生かして肉や魚を使わず、野菜や豆腐など植物性の食材のみを美味しくいただけるよう時間と手間をかけた料理を頂きます。
1日巡礼し、疲れた体に心のこもった精進料理を一品一品大事に頂くと、その日の無事や、命の尊さやいろんなことに感謝する気持ちが湧いてきます。汗を流し、翌日の支度をして体を休めます。
宿坊は基本、早寝早起きです。早く起きて朝勤行に参加し、朝食の精進料理を頂きます。1日を通して修行の一環を体験できます。
ホテルや旅館もいいですが、お遍路中、一度は数少なくなった宿坊に泊まり、宿坊での時間を味わってはいかがでしょうか。
私は37番岩本寺の宿坊が気になっていて次回は宿泊しようと思っています。
※2025年7月現在、営業している宿坊は10ヶ所だけです。